doodle-on-web

自分で調べたことや、仕事の中で質問されたことなどをまとめています。

Excel Copilotが答えを外す原因はデータの形|Power Queryで月次集計を5ステップ自動化

スポンサーリンク

Copilotに「売上を集計して」と頼んだのに、返ってきたのは「テーブルに変換してください」。あるいは、出てきた数字が明らかに合っていない。この壁の原因は、Copilotの性能ではありません。渡しているデータの形です。

そして、その形を整える最良の相棒が、Excelに標準搭載されているPower Queryです。この記事では、月次データの整形をPower Queryに任せ、分析だけをCopilotに投げる手順を4ステップで解説します。基本操作はExcel Copilot関連の記事でも扱っているので、あわせてどうぞ。

Excel Copilotが答えを外す原因はデータの形|Power Queryで月次集計を5ステップ自動化のサンプル ▲ Excel+Copilot サンプル

なぜCopilotだけでは足りないのか

Excel Copilotは、シート上のデータを「テーブル」として認識して初めて力を発揮します。逆に、次のようなデータは苦手です。

  • 1〜3行目に会社名や作成日が入っている
  • ヘッダーが2段になっている、セルが結合されている
  • 途中に小計行や空白行が挟まっている
  • 月ごとに列が横に増えていくクロス集計表(縦横に項目を配置した集計表)
  • 日付が「2026/8/1」ではなく「2026年8月1日」の文字列

人間が見れば読める表でも、Copilotにとってはノイズだらけです。Power Queryで機械が読める形に整え、Copilotに考えさせる。この役割分担が、遠回りに見えて一番速い道になります。

役割分担を決める

工程 担当 理由
CSV・複数ファイルの取り込み Power Query 毎月再現できる
不要行削除・型変換・列の統合 Power Query 更新ボタンで再実行
クロス集計の縦持ち変換 Power Query Copilot理解の鍵
集計・比較・グラフ・要約 Copilot 都度違う分析に強い
数式の意味の説明 Copilot 引き継ぎ資料に便利

線引きはシンプルで、繰り返すものはPower Query、毎回違うものはCopilotです。

始める前の動作条件チェック(ステップには数えません)

作業を始める前に、ここだけは必ず確認してください。条件を満たさないと、最後まで進んでから振り出しに戻ります。

  • ライセンス:Excel上のCopilotは、対象のMicrosoft 365プランに加えてCopilotライセンス(有償アドオン)が必要になる場合があります。まずExcelのリボンにCopilotボタンが表示されているかを確認し、なければ自社の契約プランと管理者設定をチェックしましょう。
  • 保存場所:ブックはOneDriveまたはSharePointに置き、自動保存をオンにします。ローカル保存のブックではCopilotが起動しません。

Power Query自体はローカルでも動くので、整形だけ先に進めることは可能です。

実践:月次売上CSVを4ステップで整形する

ここからが本題の4ステップです。ステップ1から4までを一度組めば、翌月以降は更新ボタンだけで再現できます。

ステップ1 フォルダーからまとめて取り込む

data フォルダに「売上_2026-06.csv」のような月次ファイルを貯める運用なら、[データ]→[データの取得]→[ファイルから]→[フォルダーから]を選びます。フォルダー単位で指定しておけば、翌月はファイルを1本追加して更新するだけ。1ファイルずつ開いてコピペする作業がここで消えます。

ステップ2 ゴミを落として型を決める

Power Queryエディターで、次の操作を順に実行します。

  • [行の削除]→[上位の行の削除]でタイトル行を除去
  • [1行目をヘッダーとして使用]
  • [行の削除]→[空白行の削除]
  • 小計行を除外する
  • 各列の左上アイコンから、日付型・整数型・通貨型を明示指定

小計行の除外で、「『合計』を含む行をフィルターで除外」とすると、商品名に「合計」を含む正規データまで消えます。より安全なのは、小計行では空欄になる列(商品コードなど)を基準に「null を削除」する方法です。文字列で判定する場合も「完全一致」や「先頭が合計」など条件を絞り、除外前後の行数を必ず見比べてください。

型変換では「2026年8月1日」形式の文字列が失敗しがちです。その場合は列を右クリック→[型の変更]→[ロケールを使用]から「日付」+「日本語(日本)」を指定します。型が文字列のままだと、Copilotに「前月比を出して」と頼んでも計算されません。

ステップ3 クロス集計を縦持ちに変換する

最重要の一手です。「縦持ち」とは、1行1レコードの形にすること。「4月」「5月」…と列が横に並んだ表を、次の形に変えます。

変換前

商品名 4月 5月
ペンA 100 120
ノートB 80 95

変換後

商品名 売上
ペンA 4月 100
ペンA 5月 120
ノートB 4月 80
ノートB 5月 95

操作は、商品名の列を選択して右クリック→[その他の列のピボット解除]。ここで大事なのは、キー列が複数ある場合(店舗+商品名など)は、残したい列をすべてCtrlキーで選択してから右クリックすることです。1列だけ選ぶと、残したかった列まで解除されてしまいます。

見た目は読みづらくなりますが、Copilotにとっては最高に扱いやすい形です。この状態なら「月別・商品別の推移をグラフにして」が一発で通ります。

ステップ4 テーブルとして読み込む

[閉じて読み込む]でシートに出力すると、自動的にExcelテーブルになります。テーブル名は T_売上明細 のように、後からプロンプトで指定しやすい名前に変えておきましょう。ここまでで、Copilotに渡せる土台が完成です。

つまずきやすいポイント

Copilotが追加した数式列は更新で消えることがある

クエリ更新のたびに再生成されるテーブル領域に列を足すためです。恒久的に使いたい計算列はPower Query側の[カスタム列]で持たせ、使い捨ての分析だけCopilotに任せると割り切るのが安全です。

元データのファイル名や列名を変えない

Power Queryは列名を手がかりに手順を再現するため、「売上金額」を「売上額」に変えただけでエラーになります。取り込み元のフォーマットは固定する、というルールをチーム内で共有しておきましょう。

コピペ用・Copilotプロンプト集

整形済みテーブルの中にカーソルを置いてから依頼します。列名を正確にそのまま書くと精度が上がります(「売上」ではなく「売上金額(税抜)」)。

  • 商品カテゴリ別の売上合計を降順で出して、上位5件を強調して
  • 月ごとの売上推移を折れ線グラフにして
  • 前年同月比を計算する列を追加して。前年データがない行は空欄にして
  • 売上が前月比で20%以上落ちた商品を抽出して
  • Power Queryで、日付列から年度(4月始まり)を求めるM式を書いて

最後の1つのように、M式そのものをCopilotに書かせて[詳細エディター]に貼る使い方は、カスタム列に慣れていない段階で特に投資対効果が高い手です。

まとめ

Copilotは魔法の杖ではなく、整った土台の上でこそ働くアシスタントです。今回の4ステップを振り返ります。

  1. フォルダーからまとめて取り込む
  2. 不要行を落として型を明示指定する
  3. クロス集計を縦持ちに変換する
  4. 名前を付けたテーブルとして読み込む

一度組んでしまえば、翌月からは「ファイルを1本フォルダに置く→更新ボタン→Copilotに質問」だけで終わります。削減できる時間はデータ量や工程数によりますが、手作業のコピペと関数の貼り直しが丸ごと消える効果は小さくありません。

次回は、この整形済みデータを使ってCopilotにダッシュボードを作らせる方法を取り上げる予定です。


関連記事

あわせてチェック